


War of Aggression
「テリーの言う事はもっともなんだよなぁ」
セクレト機関・司令官室。
そろそろ年末も近いということで、書類チェックの手伝いをしていたエルドレット。
去年は司令官補佐の大半が帰宅するという事態だったため、今年は逃さんとスヴェンに捕まったらしい。
まあ、今年も今年で逃げようという考えを持ってるらしいが。
「兄貴の言うことがもっとも、とは」
「《無尽蔵の生命《アンフィニ》》が生まれた理由ってやつ。考えたこともなかった」
「理由、理由か……。コントラ・ソールに『考え』なんてあるのだろうか」
アステリの提唱した『コントラ・ソールの生まれた理由』。
《無尽蔵の生命《アンフィニ》》なんて力が生まれた理由には、なんらかの事情があるはずだと。
他人を治療する術がなかった世界に突如生まれた不老不死の力。
そんな大きなモノが生まれた理由は、エルドレットには既に見当がついているらしい。
「何があった?」
「200年前の侵略戦争の名残がちらほらとな。大きくはなかったけど」
「侵略戦争……確か、異星の民がエルグランデを居住地にしようと仕掛けてきたんだったか」
「そう。俺が生まれた時には終わってたけどね」
エルドレット曰く、200年前の侵略戦争はナターシャが生まれるよりも前には終わっていた。
しかし予想以上に余波がひどく、その後50年ほどは侵略者で溢れかえっていたそうだ。
その合間に燦斗が誕生し、《無尽蔵の生命《アンフィニ》》という力が生まれるに至った。
そこから、コントラ・ソールは『他者を治療する』力も芽生えたという。
「っつっても、昔の司令官システムのメンバーは頭硬すぎて治療術使用禁止令出してたけどね」
「えぇ……??」
けらけらととんでもない昔話をするエルドレット。
それがあまりにも真実味を帯びないものだから、スヴェンは困惑する様子を見せていた……。

これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル