年末年始のお仕事。
セクレト機関、最高司令官室にて。
「じゃあ、悪いな。あとよろしく」
「お願いしますの~」
ヴォルフ・エーリッヒ・シュトルツァー……帰宅。
エミーリア・アーベントロート……帰宅。
『すみません、本当にすみません! コレもお願いします!』
『ホントごめん、エーリッヒ君こっちも頼むわ』
アレンハインツ・ニア・ウォール……謝罪中。
エスクロ・シェルシェール……仕事振り分け中。
『ごめーん、スー、こっちの書類サインしといて~』
『あとよろしく~。俺ちょっと寝てくる~』
エルドレット・アーベントロート……雑投げ中。
ナターシャ・アイゼンローゼ……仮眠。
「…………」
「…………」
エーリッヒ・アーベントロート……超過作業中。
スヴェン・ロウ・ヴェレット……超過作業中。
『めちゃくちゃ大変そうで笑えるわ。いえーいぴーすぴーす』
『フェル兄さん何勝手に入って来てんの!?』
フェルゼン・ガグ・ヴェレット……システム介入しおちょくりにくる。
マリアネラ・ヴェレット……兄フェルゼンを追い出す。
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毎年恒例の激務が今日も襲いかかる。
特に今年は本当にいろんなことがあったせいで、調査人や研究員達の書類が多い。
復興支援申請書、行方不明の子供達の調査報告書、休暇申請などなど。
いろんな書類が司令官システムに届いている。
それらをシステムのみで処理すると、都市機能が落ちてしまうため司令官補佐達も手伝う。
しかし今回はヴォルフは帰宅、エミーリアも帰宅、ナターシャは仮眠。
アレンハインツとエスクロが各エージェント達の書類を集め、エルドレットが雑に投げ。
それをシステム内の他のメンバー達によって簡単に振り分け、燦斗とスヴェンが調節する。
「……これ、年明けまでに終わるんですかね」
「知らん。終わらないならシステムメンバー全員を叩き起こすまでだ」
「スヴェンさんって時々脳筋な事を言いますね……」
「その方が効率がいいとオレが考えただけだ。あと彼らだけ寝かすのは許さん」
右手のタッチペンで力強く画面をタッチしつつ、左手のサインペンで書類にサインしていくスヴェン。
あまりにも器用な彼だが、その表情には怒りが浮かび上がっている。
年末。
こうして働いてる人がいるおかげで、エルグランデは今年も、そして来年も平和なのだ……。
これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル