top of page
宇宙船の内部
ローラント
カスパル

new mission

​セクレト機関 ミーティングフロアにて。

「あーもう、なんで俺が副リーダーなった瞬間に問題起こすんやアイツら」

がりがりと頭をかいたカスパルロルフとシェルムの行動に苛立ちを覚えていた。

記憶喪失の少女アルム・アルファードを勝手に連れ出すという行為。

それは彼女からロルフシェルムに頼んだことではあるが、許可無しに連れ出していることから

司令官システム側でもちょっとした大騒動になったようだ。

これを機にアルムの『やるべきこと』を探ることとなった諜報部隊『オルドヌング』。

現在、メンバーを集めて軽く作戦会議を行うこととなった。

「まぁでも、ロルフせんせならやるやろな~とは思っとった」

「コンに同意。アルムさん来たときから忙しなかったからな、あの人」

マリネロの街から戻ってきたコンラートヴィオット

オルドヌングという組織において大先輩とも言えるロルフの行動は2人共よく知っており、

絶対アルム関連でなにかやらかすだろうとは予想がついていたそうだ。

「あれ、メル、エミさんどないしたん?」

​「調子悪いからしばらく絶対安静やて。今テオが見に行ってくれとる」

キョロキョロとあたりを見渡したローラントは、エーミールがいないことに気づく。

​まだエーミールの不調に関してはメンバー内ではメルヒオールのみしか知らなかったようだ。

しかしカスパルは気づいた。

更迭されたゲラルト

不調気味のエーミール。

その様子を見に行ったテオドール

アルムを連れ出したロルフとシェルム。

彼ら以外を除いてもあと1人、この場にいないと。

「……あれ、オスカーは?」

キョロキョロと周囲を見渡しても、オスカーの姿がないことに気づくカスパル。

長身な彼が隠れるのはフロア内でも無理だろと呟きつつ、誰か居場所を知らないかと尋ねた。

「あー、オスカーさんはパスしたいって部屋籠もりました」

「里帰りしたくないそうでーす」

「里帰り……ってそうか、オスカーの家って居住区の端っこやったなぁ」

何かを思い出すように呟いたカスパル。

一言二言、昔の話を呟いては虚空に――司令官システムのうちの誰かと語る。

「あー、そういや実家戻っても俺の部屋もうないんやったな……」

そうだね。

レイ兄さんがいなくなった日から無いね。

――Alenhainz nier Walth.

「アレンの部屋は残ってんの?」

僕の部屋はどうだったかな。

レイ兄さんの部屋と一緒に残ってると思うよ。

トール兄さんが残してれば。

――Alenhainz nier Walth.

「あー……ますます帰りたぁないな……トール兄貴のいる家……めんどくさ」

「おい、いつまでアレンさんと喋っとんねん」

ローラントのツッコミでようやく会話を終えたカスパル。

その会話内容はまさに兄弟の会話だったと驚くコンラートに対し、カスパルはある真相を告げた。

アレンハインツ・ニア・ウォール

彼もまた、司令官システムの1人であり。

カスパル――カールハインツ・ノア・ウォールの双子の弟。

そして彼らは今から行くヴィル・アルミュール出身でもあった。

「……あれ。ってことはカスパルさんって」

「ん、俺もヴィル・アルミュール出身。レイ兄貴がおらんなってから家出たけどな」

「……え、レイって」

「ん? そりゃお前、レティシエル・ベル・ウォールのことや。俺の兄貴」

「えええええぇぇぇぇ!!??」

まさかの事実が今ここで暴露されることになるとは、誰が想像しただろうか……。

これは、猟兵達の秘密の物語。​

​記録と記憶に残るだけの、小さな物語。

​シークレット・テイル

bottom of page