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宇宙船の内部

In a meeting

セクレト機関の司令官室。
コンピューターだらけのこの部屋では、3人の男が卓を囲んで会議をしている。

1人はエルグランデ総司令官、エルドレット・アーベントロート

眉間にシワを寄せて、なにやら悩んでいる。
 

1人は司令官補佐、エーリッヒ・アーベントロート――もとい、金宮燦斗

彼は考え事をしているのか、口元に手を当てて考え込んでいる。


そして最後の1人は――。

「なぁ、エーリッヒ。俺、そっちの世界だとサライと敵対したってマジ?」
「マジです。私、土下座させられました
「絶対お前が何かした。絶っっっ対お前がそっちの世界の俺に何かしただろ」
「さあ、なんのことでしょうねぇ。あ、ジャックについてですけど、何かわかりました?」
「しれっと話すり替えんじゃねェ。いやまあ、それが本題なんだけどよ」

はあ、と大きくため息をついた最後の1人の名は、ヴォルフ・エーリッヒ・シュトルツァー

猟兵達が知る「UDCアース」でのオブリビオンとして観測されていた男だが、

同じ存在がこのエルグランデにもいる。
……といってもオリジナルとなるのはこちらの男のほうで、

UDCアースで観測されていたのはあくまでも同位体のようなもの。

エルグランデでは自分と同位体の存在がいるというのはよくあることなので、ここでは割愛。

 

ジャックの目的はなんなんですか?父上は放っておけ、とは言いますが」
「ん、んー。それ今言うとね、ちょっと……」
「なんだよ、俺にもエーリッヒにも言えねェのかよ?」
「ん、んー……ごめん」

 

今は、言えない。そう伝えるエルドレットの表情は、少し困り果てていた。

するとそこへ1人の男が司令官室へと入ってくる。
ライトブルーな髪の色を持ち、右目を隠した彼の名はフェルゼン・ガグ・ヴェレット
大量の書類を抱えて入ってきた彼は書類の束をエルドレットの前に置いて

新たな椅子を用意して卓に座り、調査結果を伝えてくれた。

「ジャックの目的はどうやら、このエルグランデで探しものがあるみたいでね。

ただ、その探しものの情報が出なかった」
「奴さんの居場所は?」
「すまん、そこは分からなかった。ただ、何者かによる支援を受け取っている可能性が高いことはわかっている」
「何者か……ね」

 

ちらりと、燦斗の視線がエルドレットへ向けられる。
ジャックとエルドレットは確実に繋がりを持っている、と予測を付けてはいるが……

口籠る様子を見るに、隠さなければならない事情があるのだろう。それ以上の追求は行わなかった。

「エーリッヒ殿、猟兵の方々に協力をお願いすることは?」
「ジャックについて調べる、ですか?かまわないと思いますが……」
「出来れば、奴が探している物について調べていただきたく。奴がそれを手に入れると、どうも危険な気がしまして」
「ふむ……わかりました、そのようにお伝えしましょう」

 

燦斗はフェルゼンの言葉を受け入れて、新たな仕事を猟兵達に渡す準備を開始する。

​もう少し、時間がかかりそうだ……。​
 

これは、猟兵達の秘密の物語。​

​記録と記憶に残るだけの、小さな物語。

​シークレット・テイル

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