top of page
guardian of the future
「未来を見た」
彼は小さく、一言告げる。
ごぼごぼと、水の中で大きな泡が目の前を通り過ぎるのをわずかに感じながら。
自分の身体が眠りについているのを知っていながら、それでも彼は未来を伝える。
彼の見た未来。
裏切り者が、異形の姿となって自分の首を絞める未来。
確実に殺してやるという意志を持って、彼の喉を締め付けていた。
呼吸さえも、血流さえも、全てを止めてやると。
けれど彼は、笑っていた。
その未来に到達することは、絶対に無いだろうと。
これまでと同じように、誰かがポイントを切り替えて別の未来を作るから、と。
いつものように仕事を行ってくれと私達に伝えてきた。
……でも、私はそうは思わなかった。
別の未来が作られるとも、誰かが切り替えるとも思えなくて。
これまでのことを考えると、どうしてもそうは思えなかった。
だって、彼が、エルドレットが見た未来は。
マリアネラ・ヴェレットの未来も。
アレンハインツ・ニア・ウォールの未来も。
フェルゼン・ガグ・ヴェレットの未来も。
■■■■・■■・ヴェレットの未来も。
ヴォルフ・エーリッヒ・シュトルツァーの未来も。
ベルトア・ウル・アビスリンクの未来も。
■■■■■■・■■・ウォールの未来も。
■■■■・■■・トライドールの未来も。
全て、ここに来るまでに当ててしまっているのだから。
これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル
bottom of page