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Disturb, disturb, disturb

​「ミメーシスが何をしていたか。過去を見れねぇかな……」

「少年は器用だねぇ。俺には真似できないや」

秋月・那原日野・尚人の2人は闘技場にて、過去を見た。

尚人の持つユーベルコードは24時間以内の出来事を見ることが出来る。

それを利用して判明した事柄もあるぐらいだ。

――ミメーシスの過去が見える。

闘技場で彼が何をしていたかの、過去が。

 

​****

 

​誰もいない闘技場。

​1人寂しく、フェルゼンはある一画へと向かう。

彼は頭を時折押さえながら、中から出かかっているミメーシスに反抗している様子が見える。
けれど、どうしたってミメーシスには勝てなくて。
動く身体を止めることも許されず、声を荒げるしか出来なかった。

「やめろ! ゲートを貴様ごときが扱うな!!」

『【同位体】が作り出したこれを、私が使っても構わんだろう?』

「なっ……どういう意味だ……! ゲートは先生とナターシャ殿しか作れないはずだ!!」

【同位体】。

ミメーシスは確かに、そう言った。

フェルゼンの中にいるミメーシスとはまた別の、ミメーシス体が存在する。
まるでそう示唆するような言い方をしていた。

​やがてフェルゼンの身体はゆっくりと手を伸ばし、黒い穴を作り出して……。
そこから溢れる花びらと花粉を前に、ミメーシスが嗤う。

『ああ、これで。母はこの場所を知れる――』

​****


「……どういうこった?」

映像が終わって、しばらくの沈黙後に那原が声を上げる。
見えた映像は紛れもない真実であることは彼もわかっている。


しかし今の流れからして、いろいろな情報が流れ込んできてわけがわからなかった。

けれど尚人は映像中のフェルゼンが咳をしていたことに目をつけた。
これがある事件を解決する道のりの1つでもあったということも。

 

「……これ、俺の憶測なんだけど」

ひとつ、前置きをおいて尚人は語る。
ミメーシスの目的。子供達の誘拐事件の詳細。
そして、その2つはきっちりと繋がっているのだと。

いくつかの疑問が上がったとしても、ライアークレーエに問いかければ答えは返ってくる。
けれどそれは、尚人の憶測を決定づけるにも等しくて。

「……つまり、なんだ? 『母』ってのを呼ぶために、物質を集めてて」
「子供達は物質を入れる器として、用意された……」

――ミメーシスの『母』なる存在。
それを呼ぶために、これまでの事件があるとしたら……?

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Important Message

「よっ。ごめんな、急に現れて」
「誰デショウ?」
「……誰だ?」
「誰……??」


バルタン・ノーヴェジャックアルムの3人で街の中を捜索している頃。
突如ヴィル・バルの、否、世界の時が止められ、3人を取り残す。


何事かとあたりを見渡せば、元来存在しない人物――ナターシャがそこにいた。

軽く自己紹介を終えると、ナターシャは時間切れになる前にと情報を提供する。
『ミメーシスはフェルゼン、ナターシャ、もう一人いる』と。

 

唐突に突きつけられた大きな真実に、バルタンもジャックもアルムも固まった。
だがバルタンが正気を取り戻すと、それは益になるのか? と問いかけた。

 

「なるぜ。――お前さん達が『母』を認知しやすくなるからな」
「なんと。どういう仕組なのデショウカ?」
「まあ、簡単に言うと【同位体】を知った人数が多ければ多いほど、認知しやすくなるのさ」
「なるほど」

 

ナターシャ曰く、【同位体】の存在を知る人間が多ければ多いほど、
『母』なる存在を認知しやすくなり、ナターシャやフェルゼンを操りやすくなる。
出来る限り最少人数に留めておきたい、というのがナターシャの考えのようで、
司令官システムには出来る限り知られてほしくないとのこと。

 

「人数が人数だからね、あそこは。エルにバレたら怒られそうな気もするけど」
「そこらの打ち合わせはしておくほうが良いと思いマスヨ?」
「性質上難しいなー!」

 

知っている人間が多ければ多いほど、認知しやすく、操られやすい。
その性質を持つ以上はナターシャも司令官システムには相談しづらいようだ。

 

だが、それでも彼は『最善を選んだ』と言う。
これがエルグランデという世界を救うための、最善の道。
たとえ己がどうなろうと、この世界を守るために選んだたった一つの道だと。

これは、猟兵達の秘密の物語。​

​記録と記憶に残るだけの、小さな物語。

​シークレット・テイル

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