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Knight, Advocate
「この始末、どうつけてくれるつもりだ? レティシエル」
「そりゃもちろんしばらく遊び……えっ?」
唐突に聞こえてきた男の声。
彼の名はベルディ・エル・ウォール。
アルム・アルファードの側近騎士であり、ジャック・アルファードの師匠筋。
箱庭世界に存在する、騎士の男。
「なあ、レティシエル? 私がどれだけアルム様を探したと思う?」
「ご、ごめんなさい。あの、連絡入れるの忘れて……」
「貴様が遊び呆けてる間に私がどれだけの旅費を切ったか、領収書を渡そうか?」
「ご"め"ん"な"さ"ぁ"い"!!!」
どうやらベルディはアルムを探すため、箱庭世界の国中を虱潰しに探していたようだ。
だがアルムは箱庭世界にはおらず、エルグランデにいる。
その情報が流れてきたのはつい先程のことで、ギリギリ閉じられる前にやってきたのだと……。
「ってか、コイツなんやねん。レイ兄貴をレティシエル呼びって……」
『さあ……? ジャック君、なんか知っとる?』
「……あー、そうか……アンタらは知らないのか……」
頭を抱えた様子のジャックは、大きくため息をついてカスパルとアレンハインツに説明。
ベルディ・エル・ウォール。彼はレティシエルの息子だと。
「ほーん、息子…………息子???」
『ちょっと待って? つまり、それって僕らの』
「甥っ子……ってことになるな……」
「『嘘やろ!!??』」
唐突に知ることになった、実兄レティシエルの既婚の話と息子の話。
寝耳に水の話にカスパルとアレンハインツはしばらく呆けていたそうな……。

これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル
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