

Combat start!
「兄さん! 応答して下さい、兄さん!!」
エーミールの声がミーティングフロアにこだまする。
兄燦斗からの連絡を受けたのは良いのだが、その情報は良いものではない。
侵略者《インベーダー》・モルセーゴに囲まれ、ジャックと共に身動きが取れない。
更にはモルセーゴの目的が自分とジャックである可能性が高いこと。
現在、モルセーゴの集団がこちらに向かっていること。
倒せば倒すほど、ゲートからやってくる数が増えていること。
聞けば聞くほどに絶望的な状況ではあるが、燦斗もジャックも諦めてはいないようだ。
一方で戦闘行為に集中したいからと、一方的に燦斗が通信を切ったのでそれ以上の状況はわからない。
「まあ、あの2人なら戦う手段はあるからある程度は持ちこたえられるだろうね」
「そんなことを言ってる場合か、エルドレット! 兄さんを早く助けに行きますよ!!」
「ちょい待ち、ミル。今からお前さんだけで向かうつもりか?」
「むぐっ……それは……」
エルドレットの指摘に対し、エーミールは口を噤んだ。
倒せば倒すほどやってくる数が増える侵略者《インベーダー》・モルセーゴ。
それを1人でどう対処して、燦斗とジャックを助けるのかと。
「今回は猟兵さん達を二手に分ける。討伐がメインだが、2人の身も案じたいしな」
「……なら、私は……」
「お前は猟兵さん達と共に、リヒとジャックを助けに行け。ただし、無理はするなよ」
「わかっています。貴方に言われなくても」
今すぐにでも突撃しそうなエーミールを抑え込んで、エルドレットは指令を下す。
侵略者《インベーダー》・モルセーゴの討伐。
金宮燦斗、ジャック・アルファードの救出。
どちらかを選び、行動せよと。

これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル