



time for judgment
「エーミール殿とメルヒオール殿との戦い! 友誼を理由に躊躇うことはありマセーン!」
バルタン・ノーヴェが戦場に駆けつける。
たとえ猟兵として共に戦ったことのあるエーミールとメルヒオールが敵だとしても、
それを理由に彼らと戦わないという選択肢はないと断言して。
ドカンと一発、ロケットランチャー。
3人の戦いを分けた爆発は、一瞬の作戦会議がそれぞれで行われる。
「バルタンさんとなれば……!」
一瞬の戸惑いを見せた後、エーミールはバルタンと向き合い。
「エミさん!!」
メルヒオールもまた、目標を変更する合図をすぐに送る。
2人揃って、バルタンをどうにかしないと勝ち目はないと判断を下したのだ。
《時間操作《クロノスタシス》》で時を止めて。
《創造主《クリエイター》》で高台とバリスタ砲台を作って。
それぞれ挟み撃ちでバルタンを倒せるだろうと、一瞬で判断を下したのに。
「させるかよッ!!」
エルドレットの《預言者《プロフェータ》》は2人の思考を読み切る。
そう来るとわかっていたから、《光明《クリダード》》の光で2人の目を白に染め上げた。
何も見えない、光によって潰された色の崩れた世界。
敵の姿も把握できないままに2人は翻弄されてしまう。
「ではここで、ワタシのコントラ・ソールをお見せしマショウ!」
「は!?」
「何ッ!?」
そこへ繰り出されるは、バルタンの持つコントラ・ソール。
その名も《断罪者《シュトレーフィング》》。
ヴォルフが持つ力と同じ名前であり、ほんの少し使い方の違う力。
自分が断罪するべきだと判断した相手を断罪するのは同じ。
でも、彼女が持つ力は……。
「あ、エルドレット殿。こちら対象無差別なので頑張って避けてくだサーイ!」
「え"え"え"え"!? ヴォルフのと違うのぉーー!?」
戦場に確定で全ての刃が降り注ぐ代わり、敵も味方も容赦なく断罪する刃となっていたのだった。

これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル