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They are fighters.
「ッ!!」
エーミールとエルドレットの戦いを補助していたメルヒオールは気がついた。
猟兵――馬神・レイトの存在に。
彼が召喚した赤色の雷龍・シーグウルムの存在に。
カードという刃を振り抜いた決闘者が、自分と戦おうとしていることに!
『行くぞ、レイト!』
「わかってるよ、シーグウルム!」
「テメェら、いったい何処から……!!」
焦ったメルヒオールは普段は使わないコントラ・ソール《氷牙《アイシクル》》を使い、壁を作る。
レイトとシーグウルムの放つ雷をどうにか避けるために。
けれど、雷の持つ熱は強大で。
雷の持つ力はあまりにも甚大で。
近距離戦を封じられているメルヒオールには、かなりの痛手だ。
近づいて術者を叩けば止められる環境でも、メルヒオールには難しいこと。
だからこそ、レイトとの相性は最悪だった。
「……アンタら、通りすがりやないな? 誰の差し金や」
戦っている内に、メルヒオールは気づいた。
レイトはただ、通りすがりでここに来たわけではないことに。
誰かにこの世界のことを教えてもらって、ここに来たのだろうと。
そうでなければ、こんな戦禍に飛び入る人間なんてそうそういない。
いたとしたら、それは相応のもの好きぐらいだろう。
「ジャック。黒髪の、いい男さ」
メルヒオールの問いかけに対し、ジャックに教えてもらったと答えたレイト。
その言葉を聞いて、一瞬の間があって……。
「――クカカッ! そうか、アイツがかぁ!」
一瞬だけ狂ったように、メルヒオールが笑った。
これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル
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