


Mystery beckons
「アルム嬢が通ったゲートにコントラ・ソールが……ねぇ」
「まさか、先生がこちらにいるタイミングでその話が聞けるとは」
マリネロの街のすぐ側にある海岸。
エルドレットはルナールと共に、そこにあったゲートの確認に来ていた。
ベルトアからの連絡が入る前には、既に彼らは準備が整っていた。
アルム・アルファードがこの世界に来る時に使ったゲート。
そのゲートは彼女を狙ったものであり……。
《忘却《オルビド》》のコントラ・ソールが仕掛けられていた。
使用者の改竄も行われており、ベルトアはこれを『何かのからくりがある』と判断。
エルドレットに実際に現地に向かってもらって調べてもらうつもりだったようだ。
「しかし、母様が使用者っていうのも不思議ですね」
「うん。ザビィはつい先日まで奥底にいたから、使用はできないはずなんだよね」
「考えられるのは《模倣《コピー》》、《盗賊《シーフ》》……ですが」
他者からコントラ・ソールを奪う方法はいくつかある。
代表的なものが《模倣《コピー》》、《盗賊《シーフ》》のコントラ・ソール。
《模倣《コピー》》は威力減衰は起きるもののそっくりそのまま模倣する力。
《盗賊《シーフ》》は持ち主から数分ほど盗んで使用する力だ。
しかしエルドレットは『どちらでもない』と断言した。
どちらのソールも奪い取った力は『使用者のもの』と断定されるから。
そして、もう1つは……。
「威力減衰も起きていない、盗まれた形跡がない。明らかに何かが違うんだよ」
《模倣《コピー》》ならば、アルムの記憶を完全になくすことは出来ない。
《盗賊《シーフ》》ならば、持ち主のザビーネが奥底にいても失ったことに気づく。
故にエルドレットも、自分たちの知らない何かがある、と判断をつけた。
新しいコントラ・ソールが芽生えたか、あるいは……。
「……フェルゼンの中のミメーシス。そいつが何らかの力を使ったか、ですね」
未だ判明していない、ミメーシスの力。
フェルゼンの中に存在するミメーシスには、どんな力が備わっているのか……。

これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル