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「……ほんっと、最悪のシナリオだわ」

「あなたにとっては、でしょうね。でも私には最高のシナリオですよ?」

彼らの怒りに答えるために前へ出たエルドレットと。

​セクレト機関に対して――否、エルドレットに対して敵意を向けるエーミールと。

彼を支えるためだけについてきたメルヒオール

そんな3人の激しい戦いがセクレト機関前で始まった。

最初は戦闘員達でエーミールとメルヒオールを取り押さえる手法を取ろうとしていた。

だが、彼らは《無尽蔵の生命《アンフィニ》》による長命。

どの戦闘員よりも技術をもち、どの戦闘員よりも強く、どの戦闘員も簡単に倒す。

故に、戦闘員達のトラウマになりかねないということでエルドレットが単身前に出た。

けれどそれはエーミールにとっては最高のシナリオだった。

​彼は『兄がなし得なかった復讐を遂げる』ために、エルドレットに噛みつくのだから。

「……ミル……」​

エルドレットは何かを言おうと口を開く。

だけど、次の言葉を口にしようとするものなら、エーミールのナイフが容赦なく斬りかかる。

弁明の言葉は許さない。まずは、燦斗が受けた苦しみを受けてから言葉を紡げと。

「兄さんが受けた痛みを全てあなたが受けるまで、私はあなたを逃さない」

「っ……」

憎しみと怒りを込めた一撃が、エルドレットの身体に突き刺さる。

それを回避しようにも、メルヒオールの撃ち込む銃弾がエーミールの身体ごと貫いてくるからうまくいかない。

《無尽蔵の生命《アンフィニ》》の力で死なずの体を持つ者達の戦法が容赦ない。

彼らは本気だ。

本気でエルドレットを殺そうとしている。

「あなたから受けた兄さんの傷は、こんなものじゃない」

​小さく呟くエーミールの表情は、とても苦しそうにしていた。

これは、猟兵達の秘密の物語。​

​記録と記憶に残るだけの、小さな物語。

​シークレット・テイル

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