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Big hole

「うーん……。蛇の数すっごいなあ」

ついてきたんですから、手伝ってくださいね。駆除」

「はぁい」

レティシエルと共に神殿へと訪れた黒木・摩那

空に開いた大穴のことも気がかりだが、まずは目の前の危険から駆除していくことに。

コントラ・ソール《火炎《フラム》》を使う毒蛇の群れ。

知恵をつけたか、あるいはこうしたほうが強いと悟ったか。

周囲に炎をばらまいて2人を炎の檻へ閉じ込め、じわじわと体力を削っていく。

そうして弱らせた獲物を毒で締めれば、美味しい獲物の出来上がりだと。

流石にこのまま毒蛇に負ける訳にはいかない。

かといって、1匹ずつ相手にしては逆に時間がかかって体力が消耗する。

どうしたものかと考えあぐねたレティシエルは空を見上げ……。

「あ、閃いた」

なんて軽く言ったレティシエルは右手をかざし、風で毒蛇を空へと打ち上げる。

空に見える大きな黒い穴。そこへ毒蛇を入れてみようと。

けれど大穴は何の反応も示さなかった。

それどころか、毒蛇を拒否する様子さえも見受けられる。

まるで『ここに通る道はない』と言うように。

「あの大穴、ゲートじゃないね。断言できるよ」

「ゲートじゃないなら、何だと言うんです?」

「うーん……なんだろう。ゴミ箱?」

「……入れられてませんけど」

「そうなんだよねぇ」

なんてレティシエルが笑っていると、打ち上げた毒蛇がどばどばと落ちてくる。

通る道がなかったのだから、仕方がない。引き換えしてきただけ。

それを摩那がユーベルコードで撃ち落とすことで毒蛇の息の根を止めておいた。

生き残りは頑張って《火炎《フラム》》で抵抗するが、それさえも虚しく消えていく。

「……うーん?」

「どうしました? さっきから考え込んでいるようですが」

「いやぁ……なんか、蛇が使った炎がねえ……」

レティシエルは呟く。

毒蛇が使った炎が、なんとなく、空の大穴と雰囲気が似ていると。

 

何故、そう思ったのかはよくわかっていない。

けれど彼はこの感覚が何か重要な意味を持っている気がしてならないと呟く。

空の大穴の直後に《火炎《フラム》》を使う毒蛇が現れた。

​それは、決して繋がりがないことではないと。

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target of anger

「あ"ー!! わかりました、わかりましたァ!」

「ほんと? ほんとうに?」

​「喋ります、喋りますからァー!!」

自分は世界の敵となった。

だから、何も喋らない。

そうやって口を閉ざしていたエーミール

しかし幼子である唯嗣・たからにはそれは通用しなかった。

なんとエーミールをくすぐることで彼から情報を得ることが出来たのだから!

エーミールが敵となった理由。

『兄を捨てたエルドレットへの怒り』

『世界の護り手を自称するエルドレットへの報復』

これらが主な理由になるが、じゃあ何故、エルドレットにそんな怒りを持つのか。

「あの男は兄さんを捨てているんですよ。それなのに、親の顔をして前に立って……」

燦斗さん、捨てられたの……?」

「ええ。兄さんも兄さんですよ、平然としてアレを親だと言えるんですから」

エーミールにとっては、燦斗は親のようなもので、兄でもある。

だから、そんな大切な兄を捨てた父と名乗る男が許せない。

ただそれだけだが、彼の怒りは世界をも破壊したがるほどに成長していた。

 

それを、世界の意志は許せなかった。

世界が破壊されてしまう前に、世界が無くなってしまう前に。

どうしても、エーミール・アーベントロートを滅ぼさねばならないと。

「…………」

たからが少し感じた違和感。

​それがもし、解決の糸口となるのなら……。

これは、猟兵達の秘密の物語。​

​記録と記憶に残るだけの、小さな物語。

​シークレット・テイル

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