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As a child
40年前の話。
彼らは同じ学校の同じクラスだったことから、仲良くなっていた。
……というよりも、彼らの方からぐいぐいと来たのだが。
正確にはここにマリアネラ・ヴェレットも入るが……男性同士の友情に入るのは野暮というものだ。
あれは、彼らがまだ幼い頃。
季節で言えば秋の時期に、彼らは揃って遊んでいた。
「おフェル~、もうちょっと枯れ葉集めて~」
「……このぐらい?」
「んー、もうちょっと。■■■■とマーシアがどんな芋持ってくるかわかんないし」
「……じゃあ、このぐらい」
現在のフェルゼンと違い、この頃の彼はとても大人しかった。
他者へ意見することも少し怖がっているような、世界を怖がっているような。
そんな大人しさがあったのが、幼い頃のフェルゼン・ガグ・ヴェレット。
それをわかっていながらも、ベルトアはフェルゼンと接してくれていた。
「おフェル」なんてあだ名を付けて、親しみを持って呼ぶほどに。
どんなときでも彼を支えてあげられるように。
「兄ちゃん~」
「フェル~」
戻ってきたオスカーと■■■■の手にあるのは、人数分より少し多めのさつまいも。
たくさん食べていいよと持たされたと、オスカーは語る。
そしてその後ろには――。
「子供達だけで焼き芋するなって言ったろ~?」
「あ、先生!」
「……先生」
セクレト機関最高司令官、エルドレット・アーベントロートの姿。
……否、このときだけは。
家庭教師エルドレット・アーベントロート。
そんな彼が、子供達の焼き芋タイムを見張っててくれていた。
これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル
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