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「…………」
メルヒオールは引き金を引く。
兄――燦斗とエーミールの援護のために、1つの敵も見逃すこと無く。
「海からやってくる侵略者《インベーダー》達を近づけるな」
ただその一言の命令を遂行するために
メルヒオールはスコープを覗いて、引き金を引く。
「……おっと?」
また1人、猟兵がやってきた。
ありがたいことに、情報収集と討伐を一緒にやってくれている。
どちらもやれ、と指令が下っていたがそんな暇はない。
正直、助かった。
河原崎・修羅雪姫が集めた情報はメルヒオールにも届いた。
それは信じがたい情報でもあったが、納得の行く内容。
《ゲート》が作られ、様々な他世界に繋がりを持っているという
このエルグランデではなかなかに起こり得ない情報が。
「となると、うちの部隊にもそろそろ連絡いれんとまずいかもなぁ……」
はあ、と大きくため息を付いて、弾を再び装填して。
また、同じように敵を撃ち抜いていく。
「えっ、マジ!?」
狙撃での引き金を止めないままに、メルヒオールは驚く。
今度は、新たなコントラ・ソールが顕現したという情報が入ってきたのだ。
彼が持つコントラ・ソール《魔剣》はこれまで世界にはなかった力だ。
猟兵達の持つユーベルコードに似ているが、彼の力はまたそれとは違う。
完全にこの世界で生まれ、使われたものだ。
「マジかぁ……これ終わったら、姐さんの手伝いかなぁ……」
ポツリと呟くメルヒオール。
その表情は心なしか、事務仕事を嫌うような顔をしていた。
これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル
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