



what's going on?
「メル、ロー、そっちはどうなっとる?」
「こっちは研究員は全員無事や。そろそろ《創造主》で作る時間欲しい」
「俺の方も同じく研究員全員無事。メル、一旦攻守交代しよか」
「せやな、頼むわ。テオ、状況見といて」
「ん、任せぇ」
戦闘員として招集を受けていた彼らもまた、侵略者《インベーダー》・モルセーゴの討伐を急いでいた。
前線に出るローラントがモルセーゴを一気に叩き、メルヒオールがローラントの援護を。
2人に的確な指示を出すために、テオドールが後衛に回ってモルセーゴを討伐していく。
諜報機関オルドヌングのチームとしてはなかなかの連携を取れている。
「……にしても、このタイミングで侵略者《インベーダー》か……」
メルヒオールとローラントに指示を与えているテオドールは思案する。
この状況下、あまりにも出来すぎていると。
ジャック・アルファードがこのエルグランデに降り立った直後、
彼が知っている存在・モルセーゴがエルグランデに降り立って来た。
まるでジャックに罪を被せるかのようにゲートを作り出して。
だが、テオドールはジャックでは絶対にこの動きを出来ないことを知っている。
ジャックは『エルグランデの住人ではなく』『ゲートの作成が出来ない』からだ。
この世界ではゲートの作成には司令官エルドレットの許可が必要となるため、
可能性として絞られるのは……。
「……嘘であってほしいな、ホンマ……」
色々と考察を重ねたテオドールは小さく呟く。
気づきたくもない可能性にたどり着いてしまったようで、ため息も一緒に漏れ出ている。
その考えを振り払ったのもつかの間、テオドールに一通の連絡が入る。
「ん……? なんか連絡来た」
「えっ、誰から?」
「マリアネラさんやな。珍しいなあ、なんやろ……?」
テオドールへ連絡を入れたのは、セクレト機関のある部分に携わっている人物。
その名も、マリアネラ・ヴェレット。
本来ならここは司令官エルドレットが送るはずなのだが……。
今は緊急事態というのもあるのだろう。彼らは深くは考えなかった。
1人目の協力者、黒木・摩那。
彼女のおかげでロビー付近から第一研究棟のモルセーゴは一掃されつつある。
だが彼女が手に入れた情報によれば、大研究室や司令官室に一番近い部分にゲートが開かれており、
そのゲートは間違いなくセクレト機関の人間が開いたという。
「誰や、一体誰が作ったんや!!」
メルヒオールの大声が反射し、銃弾が発射される。
その音へ反応するかのように、彼らの目の前に情報伝達用ウィンドウが開かれる。
ゲートを開いた人物の名前。そこに書かれていたのは……。
「……嘘……やろ……?」
Eldolet Abendroth.
エルドレット・アーベントロート。
エルグランデという世界の守り手にして、
セクレト機関の総司令官の名前だった。

これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル