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『エルドレット、どんだけ嬉しかったんだろうな』
「さあな。作業中のオレの脳内にも響くレベルでうるさいが」
『まあまあ』
司令官システムの奥底で、ナターシャ、スヴェン、マリアネラの3人が何気ない会話を行う。
と言っても、エルドレットがただただうるさいと文句を言うだけだが。
一方で、スヴェンは現在ヴィル・アルミュールに接近しそうになっている竜巻と交戦中だ。
本来であれば山に激突して消えるはずの竜巻。
それが意思を持つかのように、海上をぐるりと迂回していく様子が伺えた。
どうにか竜巻を消したいところだが……まだ、スヴェンだけでは難しいようだ。
『スヴェン、竜巻の様子はどうだ?』
「まだよくわからない。救援が来てない故、突入が難しい」
『そうかい。新品の機体なんだから壊すなよ?』
「む。まるでオレが壊すような言い方」
『父様は機械の扱いが雑だからねえ……』
はあ、と大きなため息をついたマリアネラ。
家族の中では機械をぶっ壊した回数が1位のスヴェンが機体を貰ったのだから、不安しかないようだ。
しかも適応できたのが彼しかいなかったため、もうどうしようもない。
流れに身を任せるしか無い。
『とりあえず、救援要請は送ってるからもう少し頑張れ』
『最悪、オスカー兄さん送るから頑張れ~』
「オスカー君の胃が心配になるな……」
はあ、と大きなため息をついたスヴェン。
ヴィル・アルミュールの竜巻は消えるのか、乞うご期待。
これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル
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