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The invisible

「面子だけ見ると家族内の揉め事ではあるんですが……」

エルドレットエーミールとの戦いに駆けつけた黒木・摩那はポツリと呟いた。

傍から見ればただの親子喧嘩なそれは、本質的には世界が破壊されるかどうか天秤にかけられている。

エルドレットがエーミールに勝てば世界は守られ。

エーミールがエルドレットに勝てば世界は滅びる。

これ以上ないほどわかりやすい対立構造が出来上がっていた。

けれど摩那はその2人ではなく、茶々を入れているメルヒオールに目をつけた。

彼が銃撃を入れるせいでエルドレットの動きが鈍くなっているため、彼をどうにかしようと。

そのため、摩那はユーベルコードを使って辺り一面に高圧電流を纏った花びらをばらまいて……。

「……ん? 今、悲鳴が3つ聞こえたような??」

摩那は使い手のため、効果は受けない。

エルドレットは味方だから除外をしているので、効果は受けない。

この場で効果を受けるのは、敵として認定されたエーミールとメルヒオールだけだ。

それなのに、高圧電流に直撃したのは『3人』。

声の主は姿は見えず、電撃を受けたショックで悲鳴を上げたようだ。

「マリアちゃん! 《解析者《アナリスト》》のリソースをこっちに回してくれ!」

コントラ・ソール《解析者《アナリスト》》を使い、周囲を解析するエルドレット。

その解析結果は……『スヴェンがいる』と言う情報を落とすのみ。

だが摩那の機転によって、ここにいるのはスヴェンではないことが証明された。

司令官システムによる処理は光速を超え、即時に処理される。

故に、エルドレットとスヴェンが会話を繋げることは容易なことなのだ。

「……ぁ"……」

何かを言いたそうに、手を伸ばしていくエーミール。

高圧電流を纏う花びらに触れても、彼は歩を進める。

《無尽蔵の生命《アンフィニ》》ある限り、彼は倒れることが出来ない。

その怒りが昇華されるまで、彼は何度も何度も戦い続けていくのだ。

これは、猟兵達の秘密の物語。​

​記録と記憶に残るだけの、小さな物語。

​シークレット・テイル

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