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The answer is clear
「やあ、ナターシャ」
「……やっぱり、そうなるか」
司令官システムの奥底。
ナターシャ・アイゼンローゼのみが存在している深層。
そこへアステリ・ラス・ヴェレットが接続される。
「なんの用だ? 1人にしてくれと言ったはずだけど」
言い方を変えれば、『ここから出ていけ』と。
ナターシャはきっぱりとアステリに言った。
けれどアステリは嘲笑いながらも、ナターシャに反論をする。
「1人? バカを言うな、キミは『2人』だろう?」
――気づいている。
アステリはナターシャの中に、ミメーシスがいることを知っている。
しかもそれが『ナターシャの弱み』だと気づいている。
司令官システムという大規模な存在に気づかれてはいけない、絶対的な弱みだと。
「……何が目的だ、アステリ」
「何、私の目的は簡単なものだよ。答えを伝えに来た」
「答え……だと?」
コントラ・ソール《解答者《アンサー》》の最初の所持者であるアステリ。
彼はその力を利用して、ナターシャへの答えを伝えに来たという。
何かの罠か? それとも別の意図があるのか?
ともあれ、その答えを聞かない限りはどうにも出来ないと判断したナターシャ。
答えの内容を聞いてから、考えることにしたようだ。
「……内容によっちゃ、切り捨てるぞ?」
「如何様にも。ま、キミ達ならばこの答えを利用するに違いない」
そう呟いたアステリは、ナターシャの中にいるミメーシスに伝わるようにと。
口頭ではなく文字をナターシャに記憶させた。
そうすることで、いつでもどこでも見返せるようにと。
『1人を与え、1人を受け取れ』
この言葉の意味は、いずれ解明されることだろう。

これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル
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