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星

​Prologue

「……ああ、本当に。私たちは帰ってきてしまったのか」

小さく、グリモア猟兵の金宮燦斗は呟く。

それはあり得ないはずだと、断言していた言葉を消し去るように。

「どうしてでしょうね。何かの縁が私達を繋いだのでしょうか」

「あるとすれば、お父様に帰ってこいと言われたような感じですの」

辺りを見回しながら、エーミール・アーベントロートエミーリア・アーベントロートが思案する。

グリモア猟兵となった以上、帰ることはないと考えていたものだからこの状況が理解不能で。

「まあ、エルドレットのことやし……俺らに《世界干渉》を行ったんやろ」

大きなため息を付いたメルヒオール・ツァーベルは頭をガリガリとかきむしる。

​こんな事があっていいものかと嘆くかのように。

彼らは帰ってくることはないだろうと思っていた故郷へと帰ってきた。

​ここへ戻ることは、全てが終わった時だと信じ切っていたのに。

異能力世界『エルグランデ』

それが、彼と、彼の弟妹達の故郷。

ありとあらゆる異世界を調査する組織《セクレト機関》が統治を行い、

身体能力の延長線上である《コントラ・ソール》を操る者達が住まう

『秘密の物語』の世界。

​これより始まるのは、猟兵達の秘密の物語。

​また別の異世界で始まる、侵略者達から世界を守る物語。

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