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Emergency

――緊急事態発生

――緊急事態発生

――速やかに戦闘員は現場へ急行せよ

――繰り返す……

セクレト機関施設内に大きな警告音が鳴り響き、戦闘員達に緊急指令が下される。

だが、誰もがその緊急指令で与えられた情報に顔を青ざめさせた。

セクレト機関施設内に侵略者《インベーダー》の侵入アリ、という情報に。

「……やれやれ、困りましたねえ。貴方が来た矢先にこれ、ですか」

大研究室のコンピューターから少しだけ離れた燦斗は小さくため息をついて、

隣にいたジャックに視線を向ける。

そんなジャックは焦りと不安でいっぱいな表情だ。

自分が何かをやらかしたのか、自分のせいでこうなったのか。

色々と頭の中に巡ってしまって、正常な判断がつけられていない。

「お、俺が、なにかやっちまったのか……!?」

「いえ、それはあり得ない。貴方にはゲートを作る能力はないため、彼らを呼ぶことは出来ないはず」

「じゃ、じゃあ……」

「十中八九、別の人物がゲートを開いた。……何のために開いたかはわかりませんがね」

眼鏡の縁を押し上げて、冷静に状況を見る燦斗。

このままでは大研究室に侵略者《インベーダー》が来る可能性が高いため、

速やかに廊下へと出る。

「っ……?!」​

扉を開け、廊下へと出たその瞬間に燦斗の目の前を大きなコウモリのような何かが飛び去っていく。

1度は通り過ぎたそれらは燦斗とジャックの存在に気づくと、再び戻って来た。

……どうやら彼らの探しものが『見つかった』ようで。

「チッ、操られてんな、アレ」

「……わかるんですか?」

「まあな。……普段は天真爛漫で純粋無垢なんだぜ、アイツら」

「そうは見えませんけどねぇ……」

コウモリのような何かの名称は『モルセーゴ』。

ジャックのいる世界で闇の種族と呼ばれる存在であり、ジャックはこのモルセーゴについては詳しい。

コウモリ型なために目がほとんど見えておらず、超音波によって相手を把握していることも。

ギィ、ギィと濁ったような声を出すモルセーゴが2体。

仲間に燦斗とジャックの存在を、そしてどの場所にいるかを知らせるために鳴いているようだ。

「仕方ねえ、お前が呼び出した連中が駆けつけるまでは共同戦線だ!!」

「父上が場所を教えてるでしょうし、すぐに駆けつけるでしょう」

2つのレイピアを構えるジャックと、黒の刀を構える燦斗。

​猟兵達が駆けつけるまでに彼らは持ちこたえることが出来るのだろうか……?

これは、猟兵達の秘密の物語。​

​記録と記憶に残るだけの、小さな物語。

​シークレット・テイル

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