


Why me!
司令官室のコンピューターを前に、エミーリアとメルヒオールが情報精査をしている。
……が、正直な話、メルヒオールは情報収集やまとめが苦手だ。
いつもその辺りをエーミールに任せているため、ツケた分が今返ってきている。
「めるめる、そっちの情報よろしくですの~」
「嫌やー! なんで俺がぁー!!」
「エーミールお兄様は別件でいないので、めるめるしかおらんですの~」
「兄貴やヴォルフのおっさんがおるやんかー!」
ぴえぴえと泣きながらも、姉であるエミーリアには逆らえぬメルヒオール。
言われるがまま様々な情報をひっくり返し、全てをチェックしていた。
しかし慣れない作業となると、身体にも負担がかかる。
そこでメルヒオールは一旦休憩時間ということで、猟兵達のいるミーティングフロアへとやってきた。
「……ん、なんやおったんか」
そんな中、メルヒオールはミーティングフロアで燦斗から仕事を受け取った
バルタン・ノーヴェと顔を合わせた。
彼女は現在、自身の姿を模しているミニ・バルタンによる調査を行っており、
セクレト機関内に散り散りバラバラにして様々な情報を集めてくれていた。
「お疲れ様デース、メルヒオール殿!」
「ん、お疲れ。……何してん?」
「ただいま燦斗殿から承った仕事を遂行中デース!」
「あー、そういやアンタそういう感じで調べれるんやったっけ」
他愛のない話を続けるバルタンとメルヒオール。
彼女が集めた諸々の情報から、
『ベルトア・ウル・アビスリンクと言う人物が目撃されている』
『研究書籍を探している』
という情報を手に入れることができた。
しかしベルトアと言う人物がエルグランデに来れないと言う情報もあるため、
どこか引っかかると考えるバルタン。
「……もしかして」
メルヒオールは気づく。
ベルトアという人物と、ジャックは顔が似ている。
故に、研究者たちはジャックをベルトアと間違えたのではないかと。
それであれば辻褄が合うのだが、メルヒオールは1つだけ納得がいかないそうだ。
「……今更、あの書籍を使う理由がある……のか?」
過去に使われ、永遠に日の目を浴びることのない研究書籍。
それを使う理由が、ジャックにはあるということなのだろうか……。

これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル