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they are sneaking
エルグランデにある、とある暗がりの空間。
2人の男たちが何やら話をしていた。
「ジャックがエルグランデに到達したそうだが、計画は順調か? 同志」
「そうだな、順調だ。ジャックには誰にも会わないようにと言ってるしな」
「そうか。それなら良いのだが」
小さくため息をついた長身の男。
安堵する様子ではあったが、まだまだ気を抜けないといった表情を見せる。
対する薄い白衣を纏った男は、不敵な笑みを浮かべている。
何が訪れようと、どんな事が起きようと、負ける気はしないといった様子で。
そんな中で長身の男はふと何かを思い出す。
それは自分が所属している部隊に動きがあったかどうかだ。
侵略者《インベーダー》騒動が起こったのならば、セクレト機関所属の全ての戦闘員が出てるだろうと。
「オルドヌングか? いや、まだ何も指令は出てねぇみたいだな」
「そうか。侵略者《インベーダー》ともなれば、指令が降りそうなものだが」
「どうだろうね。エミたろとメル坊が戻ってるなら、そろそろ出るかもしんねぇけど」
「まあ、そうなった場合は全員を呼び戻すさ」
くるりと長身の男は踵を翻し、白衣を纏った男の下を去る。
これ以上の会話は誰かに聞かれてしまうから危険だから、と。
「危険、ね……」
白衣の男はちらりと、虚空を見つめてただ一言呟いた。
「聞かれてるんだよな、もう」
これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル
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