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Copycat
「……で、私の一張羅をどうしてくれるのかな?」
「「ごめんなさい」」
フェルゼンを追いかけ回して、しばらくして。
アルムと唯嗣・たからは上着を脱いだフェルゼンの前で正座していた。
というのも、たからが持っていた羽ペン2本で彼をくすぐり倒したためだ。
井戸の傍でくすぐっていたものだから、彼の上着は泥まみれ。
sしょうがないので、その場で洗濯しながらフェルゼンは情報を渡す。
侵略者《インベーダー》・ミメーシスという存在。
その存在に体の主導権を奪われているフェルゼン。
それに対抗するためベルトアがいちかばちかの賭けでアルムを送り込んだという。
「どうやって私の状態を知ったかは知らんが、まあ、賭けは成功だな」
「フェルゼンさん、戻って来れるの?」
「ん……そこはわからないな。ちゃんと戻ってくるかまでは、私でも」
「うう……」
しょんぼりとした様子のたから。
彼女の行動指針はそもそもが『セクレト機関のみんなで仲良く』なので、
ここでフェルゼンが戻ってこないのは悲しい。
いっぱい遊んで、いっぱい喋って、いっぱい食べて。
両手いっぱいの楽しいをフェルゼンにも分けてあげたいのだ。
「……ああ、優しいな。たから殿は」
そうして優しく微笑んだフェルゼンは、再び姿を消してしまう。
アルムと近くにいても、時間が立てば再びミメーシスが身体の主導権を奪うようだ。

これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル
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