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Let's talk
セクレト機関のロビー。
マルクス・ウル・トイフェルが紙袋を携えて少女と共にうろついている。
彼はアビスリンク家の執事長。故に関連することと言えばオスカーのことになる。
「オスカーがのぅ、仕事着家に忘れたー! って言うてのぅ」
マルクスが口を開く前に少女――ナギサと名乗る少女が真実を教えてくれた。
どうやらオスカーは帰宅した際、仕事着をクリーニングに出したようだが……それを忘れてしまったそうで。
マルクスもそのことは否定しない。むしろ少々困り果てている様子だ。
とはいえ、今この状況は彼にとって『ちょうど良かった』らしいが。
「皆様にお話することがありますからね。届けた後にお時間があれば、お話でも」
話すことがある。
彼ははっきりとそう言った。
よく考えれば彼はファムの村の騒動の折に『模倣者に気をつけろ』とメモを残した。
そのことについての話は、これまで一切行われていない。
故に彼はちょうど良かった、と口にしたのだ。
だがここで話をするのも、と思った矢先。
ナギサが時計を見て叫び声を上げた。
「のじゃー!? マルー、時間まであと10分なのじゃー!」
「げっやばい!? すみません皆様、また後ほど!」
ぺこりとお辞儀をしてその場を去るマルクスとナギサ。
姿が見えなくなるまで、ナギサは時折こちらを振り向いて手を降る様子を見せていた。

これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル
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