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approaching malice
「ほう、貴様。なかなかに頭が切れるようだな? ただのイカの分際で」
突如マリネロの街の港に現れた異世界の魔物クラーケン。
巨大な身体と触手は次々に入港している船を叩き割り、海の中へと沈めていく。
そんな中、街を守るためにルナールがクラーケンと対峙していた。
彼は視線をクラーケンと合わせようとするものの、合わせた瞬間に触手が伸びるため困難を極めている。
「いや……これは、私の眼に気づいているか?」
何度も何度も試してみたが、目を合わせようとしないクラーケン。
見ることで『違和感』を見つけようとしているルナールにとっては最悪の事態だ。
魔眼《観察眼《ディサーニング》》の発動すらままならない。
だが、ルナールは気づいてしまった。
クラーケンをこの世界に連れ込んだ犯人に。
そして……一連の流れの犯人に。
「……貴様のせいだからな、クラーケン」
嫌な考えは捨ててしまおうと、黒の狐面を取り払ったルナール。
意地でも《観察眼《ディサーニング》》を使って真実を暴いてやると呟いた。
これは、猟兵達の秘密の物語。
記録と記憶に残るだけの、小さな物語。
シークレット・テイル
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