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​えーぷりるふーる

「……そういえばそんなのあったなァ!!??

なんて言葉がヴォルフから飛ぶ。

そう、今日はどこかの世界の4月1日。

嘘をついても良い日だなんて言われている日。

ちなみにメタな話をすると今日このトップは

今日この日にしか現れない特別なものなので、見れた人は奇跡。

「嘘をついて良い、か。良い習慣もあるものだな」

「良い習慣っていうか、いつの間にかあった習慣みたいなものらしいですよぉ」

どこかの世界の桜の散る様を見届けながら、燦斗とフェルゼンがつぶやく。

エルグランデではエイプリルフールの概念が無いので、ちょっと珍しいものでもあるわけで。

「でも何故でしょう、兄さんとフェルゼンさんにこの日だけは喋ってほしくないのは……」

​「同感。コイツら、普段から嘘と本当織り交ぜて喋るから、毎日が嘘つきの日みたいなもんだよ」

「ということは今日2人が喋ると、言葉全てが嘘しかない……?」

「えぐいな……」

エーミールとヴォルフは交互に嫌な予感を思い起こす。

嘘をついて良い日なんてあったら、目の前の2人が本領発揮してしまう。

嘘をついて良い日なんてあったら、この2人以外だと司令官が遊ぶのが目に浮かぶ!

「……ドレットにこんな日があるってのだけは知られないようにしないとな」

「父上が知ったら、兄さんと嘘をついてつかれての合戦始めるでしょ」

「……それはちょっと見てみたい気もするな?」

「…………そうですね?」

エルドレットと燦斗の2人が嘘をついて良い日に話をしたらどうなるのか?

それが気になったヴォルフはちょっとお試しの形で

エルドレットに嘘をついていい日のことを教えたという。

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​えーぷりるふーる そのに

「嘘をついて良い日かぁ」

ヴォルフとエーミールから報告を受けたエルドレットは、どんな嘘をつくか考えていた。

普段から息子であるエーリッヒ――燦斗に仕返ししてやろう! という考えもあるが、

それ以前に『傷つかない嘘』ってなんだろう、という気持ちでもあった。

エイプリルフールは嘘をついていいとは言え、人を傷つけるのは良くない。

なので、出来るだけ燦斗が傷つかないように、慎重に言葉を選んでいた。

そうして導き出した考えから、エルドレットは燦斗と会話を開始。

「そういやリヒにさあ、こないだエージェントランク下がったって話したっけ?」

「えっ、何言ってるんですか。私そもそも変動無しのEXタイプですが」

「そうだった……」

しっかり撃沈。

エージェントランク下がったよ~って話で驚かすつもりだったようだが、

そもそも燦斗はエージェントランクの変動のないタイプなので意味がなかった。

「え、えっと。じゃあ、リアちゃんに彼氏出来たよ~って話は」

「エーミール一筋のあの子に彼氏ができるとお思いで? なお逆もまた然り」

「ウッス……」

あれやこれやと嘘をついてみようとするも、ど正論返答が返ってくるものだから

逆にエルドレットがボコボコにされている。

嘘をついていい日なのにノってくれない方もノってくれない方だが。

そんな嘘をついて良い日で遊ぶエルドレットに向けて、燦斗は一言。

「そういえば、最近父上のへそくりを見つけたんですよねぇ」

え"っ

燦斗は思いっきり、嘘だとわかる口調で語ったのに対し、

エルドレットの表情は一瞬の内に青ざめる。

どうやら嘘をついたはずなのに、事実を引き当ててしまったようだ。

「へぇ? あるんですね、へそくり」

「う……えっと、リアちゃんとヴォルフに内緒で……」

「へえぇ~? ……あ~、彼らに教えたくなってきましたね~」

「ちょぉっ、勘弁ッ!! 何! 何が欲しい!?」

「え? じゃあ超高級ステーキ、私とエーミールとメルヒオールの分」

​「ぐあああ~~~!!??」

エイプリルフール。

それはエルグランデにおいては、司令官エルドレットの財布にダメージが入った日……。

これは、猟兵達の秘密の物語。​

​記録と記憶に残るだけの、小さな物語。

​シークレット・テイル

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